民法・その他法律

   

1. 民法

(1)  基本三原則

@ 権利能力平等の原則

A 所有権絶対の原則

B 私的自治の原則

ž  契約の自由の原則

ž  過失責任の原則(例外:実用新案権行使の無過失賠償責任、特許権侵害の過失推定)

 

(2)  契約の有効要件

契約は意思表示が合致した時点で成立する。しかし、契約が有効要件を満たさない場合は、無効または取消となる。なお、「自力救済」は禁止されている。

 

i. 客体

@ 内容の確定性

A 実現可能性

B 適法性

C 社会的妥当性

 

ii.    主体

@ 権利能力:権利・義務の主体となる資格。

A 意思能力:有効に意思表示できる能力。脅迫・詐欺・錯誤・虚偽による場合は無効。

B 行為能力:単独で有効に意思表示する能力。未成年者には無い。

 

また、代理人による契約の締結権限として、代理権と顕名が必要。

 

(3)債務不履行責任

「債務不履行」とは、債務者が正当な理由が無いのに債務の履行をしないこと。

債務不履行の態様には「履行遅滞」、「履行不能」、「不完全履行」がある。

債務不履行責任の追及は、債務履行を請求できる時から10年となっている。

「不特定物(物の個性に着目しない、数量のみに着目するもの)」に適用される。

 

i. 対応

@ 国家権力による強制履行:裁判所の判決が必要。

A 契約の解除

B 損害賠償請求

 

ii.同時履行の抗弁権の適用要件

次の要件をすべて満たした場合、相手方が債務履行の提供をするまで、自己の債務履行を拒むことができる。双務契約の履行における各当事者間の公平性を保つ。

@ 1個の双務契約に基づく相対立する責務があること

A 相手方の債務が履行期にあること

B 相手が自己の債務履行の提供をしないで、自己の債権履行の請求をすること

 

(4)瑕疵担保責任

売買の目的物に隠れた瑕疵がある場合に、売主が負うべき責任。

瑕疵担保責任の追及は、瑕疵を知った時から1年となっている(商人間の場合、受領して6カ月)。

「特定物(物の個性に着目するもの)」に適用される。

対応として、

@ 契約の解除

A 損害賠償請求

 

(5)危険負担

当事者の帰責性が無いにもかかわらず(どちらの責任でもなく)、履行できなくなってしまった場合の制度。

特定物の場合は、債権者(買主)が負担する。

不特定物の場合は、債務者(売主)が負担する。

 

 

2. 不正競争防止法

(1) 不正競争行為

@ 周知表示混同惹起行為

需要者に広く認識されているもの(周知)と同一・類似の商品等表示を使用した商品を販売する等して、他人の商品または営業と「混同」を生じさせる行為。

例外:普通名称・慣用表示・自己の氏名・先使用

 

A 著名表示冒用行為

他人の著名な商品等表示と同一・類似のものを、自己の商品等表示として使用する行為。

「混同」を生じなくても、使用しただけで違法となる。

 

B 形態模倣行為

他人の商品形態とそっくりの模造品(デッドコピー)を取引できる状態にする行為。

外観上認識できるものに限られ、レストランのレイアウトは形態にはならない。

適用除外:販売された日から3年後、デッドコピーを善意無重過失で譲り受けた者

 

C 営業誹謗行為

競争関係にある、他人の営業上の信用を害する、虚偽の事実を告知・流布する行為。

問題となる行為:虚偽の事実による比較広告、無効な知的財産権侵害の警告

 

D 営業秘密の不正取得・不正使用・不正開示行為

営業秘密とは、

ž  秘密管理性:「秘密として管理されていること」

ž  有用性:「事業活動に有用な技術上・営業上の情報であること」

ž  非公知性:「公然と知られていないこと(社外秘・秘密法事義務・厳重な管理)」

 

適用除外:不正取得・開示行為が介在したことを知らないで使用する行為

 

E 商標に関する品質誤認惹起行為

F ドメイン名の冒用行為

G プロテクト外し

 

(2) 不正競争行為への制裁

@ 差止請求

不正競争によって、営業上の利益を侵害・又は侵害の恐れがある者は、侵害の停止・予防を請求できる。

侵害の事実・不正競争行為を知った時から3年以内、または行為の開始から10年以内に請求する。

 

A 損害賠償請求(故意・過失がある場合)

B 信用回復措置請求(故意・過失がある場合)

C 刑事罰

 

 

3. 独占禁止法

(1) 目的

事業者の公正かつ自由な競争を促進し、経済の健全な発達を図ること。

 

(2) 運用

公正取引委員会によって、立ち入り調査、カルテルの排除措置命令、課徴金が課せられる。

 

(3) 規制行為

@ 不当な取引制限(例:カルテル・入札談合)

A 私的独占

B 不公正な取引方法(例:景品を付けて売る行為)

C 企業間の結合・集中

 

(4) パテントプール

規格の標準化活動など、正当な目的によるパテントプールの形成は問題にならないが、他の事業者の参入を阻害する差別的な条件や、特許の自由な利用を制限する場合には問題となる。

 

 

4. 関税法

知的財産侵害品・不正競争防止法に定める形態模倣品を水際で防ぐ。

(1) 税関長

ž  認定手続(税関長が侵害物品にあたるか否かを認定する手続)を取る。

ž  没収して廃棄する。

ž  輸入者に積戻しを命じる。

 

(2) 貨物の輸入者・権利者

ž  認定手続を取りやめることを税関長に求める。

ž  特許庁長官の意見を聴くことを求める。

ž  権利者の輸入同意書があれば輸入できる。

 

 

5. 種苗法

(1) 保護要件

@ 区別性:出願時に公知の品種と明確に区別できること

A 均一性:繁殖した場合に、全ての特性が全部において十分類似すること

B 安定性:繰り返し繁殖した場合に特性の全部が変化しないこと

C 未譲渡性:出願の日から一年以内に(外国では4年)、業として譲渡されていないこと

D 先願

 

(2) 品種登録

出願書類を農林水産大臣に提出する。

ž  出願者の氏名・住所

ž  出願品種の種類

ž  出願品種の名称

ž  育成者の氏名・住所

ž  出願品種の写真

 

(3) 育成者権

業として利用する権利を専有する。

存続期間は、登録から25年(永年性植物は、登録から30年)。

 

 

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