著作権侵害

   

1. 著作権の侵害

(1) 成立条件

@ 原著作物に「依拠」して作成されたこと

A 原著作物と実質的に同一または類似であること

B 法律上禁止された行為を行うこと

 

(2) 侵害とみなす行為

ž  海賊版(外国の著作権者の許諾を得ずに複製された著作物)を外国から輸入・輸出する行為

ž  プログラムの複製品(違法コピー)を業務上使用する行為

ž  著作物の権利管理情報(電子透かし)の除去・改変、虚偽の情報を付加する行為

ž  音楽レコードを環流させて、輸入・所持する行為(安価な海外向けレコードを輸入する行為)

ž  著作者の名誉・声望を害する行為

ž  著作隣接権の侵害

 

 

2. 著作権の無断利用の例外(著作権の制限規定)

@ 私的使用のための複製

A 図書館における複製

B 公表された著作物の引用(公正な慣行に合致する正当な目的で使用する)

C 教育目的の利用

D 試験問題としての複製

E 視聴覚障害者のための複製、点字・字幕など

F 非営利目的の上演

G 時事問題に関する論説の転載

H 政治上の演説、裁判手続きの公開陳述

I 時事事件報道のための利用

J 司法・立法・行政目的の複製

K 放送事業のための一時的な録画・録音

L 美術品の所有者による公開・パンフレット掲載

M プログラム著作物の複製物の所有者による複製・翻案

 

 

3. 著作権侵害への対応

(1) 差止請求(112)

著作者、著作権者、著作隣接権者は、侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

故意・過失が無くても請求できる。

 

(2) 損害賠償請求

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(民法709)

ž  損害金額を立証することが困難な場合には、裁判所が相当な範囲内で決定する。

ž  侵害者に故意又は過失がない場合には、損害賠償請求できない。

ž  侵害の事実を知った時から3年以内、または侵害行為があってから20年以内に請求する。

 

(3) 不当利得返還請求

法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、これを返還する義務を負う(民法703)

ž  悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない(民法704)

ž  侵害者に故意・過失があるかどうかは関係なく、返還請求できる。

ž  侵害の事実を知ってから、10年以内に行う。

 

(4) 名誉回復等の措置請求(115)

作者又は実演家は、故意又は過失によりその著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者に対し、損害の賠償に代えて、又は損害の賠償とともに、著作者又は実演家であることを確保し、又は訂正その他著作者若しくは実演家の名誉若しくは声望を回復するために適当な措置を請求することができる。

 

(5) 慰謝料請求(710)

他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

精神的損害に対する賠償請求。

 

(6) 刑事罰(119)

ž  著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害する行為とみなされる行為を行った者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 

 

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