単相関分析・単回帰分析

 

1. 単相関分析

(1)  相関分析

相関係数 によって、変数xyの相関の度合いを判断する。

ただし、 は因果関係・理論的な関係が存在する可能性を示すのみである。

したがって強い相関があっても、事実調査や理論的検討が必要である。

また、相関が弱くても2変数間に関係がないといえない場合がある(2次関数、指数関数等)。

また相関係数を2乗したものr2は寄与率と呼ばれ、原因系xで、結果系yの説明できる量はr2となる。

 

 

(2)  相関係数

@ xの偏差平方和:xのみのばらつきを表す。(独立変数)

 

 

A yの偏差平方和:yのみのばらつきを表す。(独立変数)

 

B xyの偏差積和:xyのばらつきを表す。(従属変数)

 

C 不偏分散

 

D 共分散

 

E 相関係数


 

負の相関⇔無相関⇔正の相関

  

 

(3)  検定・推定

例:相関係数を根拠に、xyに相関があるといえるか

ただし、母集団の分布は正規分布に従うものとする。

 

<検定>

@ 仮説を立てる

帰無仮説H0 相関があるといえない

対立仮説H1 相関があるといえる

 

A 統計量として、各平方和を求め、試料相関係数を算出する。

 

rは、自由度 r分布(釣鐘型対称分布の一種)に従う。

 

B 判定

検定基準:r表などから、値を読み取る。

両側検定(5%,1%)

 

たとえば、両側検定5%(両端2.5%ずつ)では、

 

                       i.    ならば帰無仮説H0は棄却され、対立仮説H1が採択される。有意水準5%にて有意差あり。

 相関があるといえる。

 

                      ii.    ならば帰無仮説H0は棄却されない。有意水準5%にて有意でない。

 相関があるといえない。

 

<推定>

試料相関係数rから、母相関係数ρを推定する

 

C 点推定

 

D 区間推定(信頼度95%

点推定rz変換し、得られたzの上限値・下限値を、今度はrに逆変換し、rの上限値・下限値を求める。

 

 

信頼度95%では、

 

母相関係数ρは、95%の確率で、この区間に入る。

 

 

(4)  簡易検定1(大波の検定)

散布図におけるn組の において、メジアンより上(+)か下(-)かを判定する。

両者の積の符号を数え、小さい方を符号検定表の と比較する。

@   の時、負の相関あり(散布図において、第二象限・第四象限に分布する)

A   の時、正の相関あり(散布図において、第一象限・第三象限に分布する)

B   の時、相関なし

 

 

(5)  簡易検定2(小波の検定)

散布図におけるn組の において、ある点と次の点とを結ぶ線分が上向きのときには+、下向きの時には−、変わらない時には0とおいて、対応する線分の符号の積を求める。その積の符号の+と−の数を数えて、上記同様符号検定表で検定する。

 

 

 

2. 単回帰分析

(1)  回帰分析

相関分析の結果、相関があった場合に、回帰分析に進む。

2変数を散布図にプロットした多くの点を線で代表させる。

 

 

(2)  最小二乗法

回帰直線を引く。一次式である。

 

これに対し、散布図上の一つ一つのプロットは、誤差を含んだ次式で表される。

 

残差平方和は、

となり、この値が最小となるように、回帰式の係数を決める。

 

ただし、傾きは、

となる。

 

また、平均値について、 が成り立つので、切片は、

となる。

 

(3)  全平方和

回帰平方和は、傾きと偏差積和から、

となる。

 

残差平方和を式変形すると、

 

 

したがって、全平方和は、回帰平方和と残差平方和の和で表される。

すなわち残差平方和を最小にすることは、回帰平方和を最大にすることと同値である。

 

また、決定係数は、寄与率に等しい。

 

(4)  検定

回帰平方和と残差平方和を使って、F検定を行う。

例:標準偏差を根拠に、一次回帰と誤差のばらつきに差があるといえるか

 

@ 仮説を立てる

帰無仮説H0 標準偏差に差があるといえない

対立仮説H1 標準偏差に差があるといえる

 

A 分散分析表を作り、不偏分散Vの比を表すFを求める。

 

F は、自由度 F分布に従う。

 

 

B 判定

検定基準:F分布表などから、値を読み取る。

検定(5%,1%)

 

たとえば、有意水準5%の検定では、

 

                       i.     ならば帰無仮説H0は棄却され、対立仮説H1が採択される。有意水準5%にて有意差あり。

 標準偏差に差があるといえる。すなわち一次式と認める。

 

                      ii.   ならば帰無仮説H0は棄却されない。有意水準5%にて有意でない。

 標準偏差に差があるといえない。

 

 

戻る

 

 

 

inserted by FC2 system