信頼性概論

 

1. 信頼性とは

(1)  定義

故障率などによって、定量的に表現される技術用語で、「アイテムが与えられた条件下で規定の期間中、要求された機能を果たすことができる性質(JISより)」。

 

(2)  安全性との関係

安全性の定義は、「人間の死傷又は資材に損失若しくは損傷を与えるような状態のないこと(JISより)」である。

すなわち、安全性とは、信頼性を用いて定性的に表現される、品質に関する尺度をいう。

(例:故障率が低いので、安全性が高い。寸法的欠陥によって、安全性が損なわれる。)

 

(3)  信頼性の三大要素

@ 耐久性:機能が長持ちすること、要求される時間において故障が少ないこと。

A 保全性:アイテムの保全が、与えられた条件において、規定の期間内に終了すること。

B 設計信頼性:設計の時点で考慮に入れられた信頼性。致命的欠陥、誤操作を防ぐ。

 

(4)  信頼性理論の研究と実際面の手法

@ 理論:確率論・統計的手法→ワイブル分布

A 実際:故障解析手法→FMEAFTA

 

(5)  信頼性手法と品質管理手法との対比

 

 

信頼性手法

品質管理手法

目的

事前防止、故障予測

事後対策、再発防止

試料数

n=0,n=1

多数

解析方法

固有技術・言語情報

測定データ

環境条件

顧客による多様性

工程

時間範囲

耐久性など長期的予測

工程内の検査

 

 

2. 耐久性

(1)  非修理系システムの寿命「一般耐久消費財が長持ちすること」

@ 信頼度

「与えられた条件下で規定の期間中、要求された機能を果たす確率(JISより)

すなわち、要求される任務時間Tにおいて、寿命が尽きずに残っている割合を表す。

ただし、 は寿命分布密度関数を示す。

 

A 平均故障寿命(MTTF: Mean Time To Failure)

「非修理系における故障寿命の平均値(JISより)

MTTFにおいて、摩耗故障しない確率は50%となる。

 

B ビーテンライフ(B10)

B10において、摩耗故障しない確率は90%となる。

C セーフライフ

セーフライフにおいて、摩耗故障しない確率は100%となる。

 

(2)  修理系システムの故障率「偶発故障期において、故障が少ないこと」

@ 平均故障間隔(MTBF: Mean Time Between Failure)

「修理系において相隣る故障間の動作時間の平均値(JISより)

偶発故障期においては故障間隔が指数分布に従い、この場合どの期間をとっても故障率 は一定で、MTBFは故障率 の逆数になる。

 

A 瞬間故障率「ある時点まで動作してきたアイテムが、引き続き単位期間内に故障を起こす割合(JISより)

B 平均故障率=総故障数/総稼働時間

偶発故障期のみを考えた場合、瞬間故障率=平均故障率=MTBFの逆数。

 

 

3. 保全性

保全とは、「アイテムを使用及び運用可能状態に維持し、又は故障、欠点などを回復するためのすべての処置及び活動(JISより)」である。

 

(1)  事後保全(CM: Corrective Maintenance)「故障発生後の修理の容易さ・修理時間の短さ」

故障が起こって後でアイテムを運用可能状態に回復するための保全(JISより)

@ 平均修復時間(MTTR: Mean Time To Repair)

A 修復の容易性(接近性・交換性)

 

(2)  予防保全(PM: Preventive Maintenance)「故障を事前に抑える性質」

使用中での故障を未然に防止し、使用可能状態に維持するために計画的に行う保全(JISより)

@ 故障時間・故障分布・故障パターンに基づく故障予知

A 定期的監視・モニターによる故障検出

 

 

4. 耐久性+保全性

(1)  生産保全(TPM: Total Productive Maintenance)

CMPMを適当に組み合わせ、生産システム全体について、保全性と生産性の維持・向上を図る。

すなわち、耐久性を向上させると製造コストが跳ね上がるので、故障が多少発生しても保全(CMPM)によって対処する。

 

(2)  アベイラビリティ「耐久性と保全性を組み合わせた、システムの有効稼働率」

アベイラビリティとは、「修理系が規定の時点で機能を維持している確率、またはある期間中に機能を維持する時間の割合(JISより)」である。

 

固有アベイラビリティ:

 

運用アベイラビリティ:

 

アベイラビリティを高くするためには、

@ MTBFを大きくする(故障せずに動作している時間を長くする=耐久性)。

A MTTRを小さくする(修復にかかる時間を短くする=保全性)。

 

信頼性品質を向上させれば、製品コスト(耐久性)は高くなるが、保全コストは下がる。

逆に、信頼性品質を低下させれば、製品コストは下がるが、保全コストが高くなる。

ゆえにトータルのコストが最小となるような、信頼性品質が存在し、設計においては、耐久性と保全性の経済的なバランスを考える。

 

 

5. 設計信頼性

@ フェールセーフ

「アイテムに故障を生じても安全性が保持されるように配慮してある設計(JISより)

仮に故障が発生しても、システム全体としては致命的な欠陥とはならない仕組み。

 

A フールプルーフ

「人為的に不適切な行為や過失などが起こっても、アイテムの信頼性・安全性を保持するような設計または状態(JISより)

誤操作を防止するために、誤った操作方法では機能しないようにした仕組み。

 

B インターロック

誤操作を防止するために、決められた条件でなければ、起動しないようにした仕組み。

 

C 人間工学に基づく設計・操作性

 

 

6. 信頼性手法

(1)  開発初期

@ 設計審査(DR: Design Review)

「アイテムの設計段階で、性能・機能・信頼性を、価格・納期を考慮しながら、設計について審査し、改善を図ること(JISより)

 

A FMEA

「設計の不完全や潜在的な欠点を見出すために構成要素の故障モードとその上位アイテムへの影響を解析するする技法(JISより)

故障率の高い故障モードを、設計変更により、未然に除去する。

システムの弱点を把握し、設計変更・運用上の対策を立てることができる。

 

B FTA

「信頼性又は安全性上、その発生が好ましくない事象について、論理記号を用いて、

その発生経過をさかのぼって樹形図に展開し、発生経路及び発生原因、発生確率を解析する技法(JISより)

システムの運用中に発生した好ましくない事象を頂上において、その事象の一時要因・二次要因…を展開し、要因同士を論理記号で結合する。

トップ事象が発生しないように確実な対策を立てることができる。

 

(2)  試作段階

@ 信頼性試験

実機試験(フィールド信頼性試験)・環境試験・寿命試験など。

 

A 故障解析

「アイテムの潜在的または顕在的な故障のメカニズム・発生率・故障の影響を検討し、是正処置を決定するための系統的な調査研究(JISより)

シミュレーションも行う。

 

(3)  寿命試験結果

@ ワイブル確率紙による統計的解析

システムの故障は、サブシステムのうち一番弱いところが故障することによって生じる。

それを表したワイブル分布を利用して、故障型・平均寿命・信頼度などを推定する。

 

A 累積ハザード法・ジョンソン法による統計的解析

ランダム打ち切りデータに関して使われる。

 

 

7. 各関数の関係

(1)  信頼度(総試料数のうち、時間tまで残存している試料数の割合を表す):分布関数

 

(2)  不信頼度(総試料数のうち、時間tまでに故障した試料数の割合を表す):分布関数

 

(3)  寿命分布の密度関数(総試料数のうち、特定の時間tの瞬間に故障した試料数の割合を表す):確率密度関数

 

(4)  故障率(特定の時間tの瞬間故障率を表す)

 

なお、次の微分方程式を解くことによって、信頼度を故障率で表すこともできる。

 

 

(5)  累積ハザード関数(時間tまでの瞬間故障率の累積を表す)

 

(6)  偶発故障期(故障率一定)における各関数の関係

前述の関係から、もし故障率が一定であれば、

:故障率が一定ならば、残存数は指数関数的に減っていくことを意味する。

 

 

 

 

 

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