架空電線
1. 低圧・高圧架空電線路の電線
(1) 規定
感電の恐れがないよう、使用電圧に応じた絶縁性能を有する絶縁電線・ケーブルを使用する。
通常の使用状態において断線の恐れがないように施設する。
接触・誘導作用による感電、交通に支障を及ぼす恐れがない高さに施設する。
無線設備の機能に、継続的・重大な障害を及ぼす電波を発生しない。
弱電流電線路に、誘導作用による通信上の障害を及ぼさない。
接近・交差する場合、同一支持物に施設する場合は、接触・断線で、混触による感電・火災の恐れがないように施設する。
(2) 電線の種類
電圧 |
高圧・特別高圧絶縁電線 |
300V以下 |
2.3kNまたは、φ2.6mm以上の硬銅線 |
300V超(市街地) |
8.01kNまたは、φ5mm以上の硬銅線 |
300V超(市街地以外) |
5.26kNまたは、φ4mm以上の硬銅線 |
ケーブルの太さは規定なし
300Vを超える架空電線には、引込用ビニル絶縁電線・多心形電線は使用しない。
高圧ケーブルのハンガー間は50cm以下。
(3) 電線の強度
荷重
@ 垂直荷重:電線の自重
A 水平荷重:水平風圧荷重
弛度安全率
@ 硬銅線・耐熱銅合金線:2.2以上
A その他の電線:2.5以上
(4) 電線の高さ
通常 |
道路横断 |
鉄道横断 |
歩道橋 |
5m |
6m |
5.5m |
高圧:3.5m,低圧:3m |
(5) 併架
高圧-低圧 |
50cm |
(6) 経間距離
|
普通 |
長径間 |
保安工事 |
木柱・A種柱 |
150m |
300m |
100m |
B種柱 |
250m |
500m |
150m |
鉄塔 |
600m |
制限なし |
400m |
2. 特別高圧架空電線
(1) 規定
原則、市街地・他人の家の密集する地域に施設してはならない(ケーブルを除く)。
ただし、断線・倒壊による危険の恐れがないように、絶縁性・電線の強度に保安上十分な措置を講ずる場合は、この限りでは無い。
170kV以上の電線路は市街地に施設してはならない。
170kV以上場合、水平離隔距離3m以上。
※ 市街地:線路両側50m、線路方向500mの範囲の建蔽率が25〜30%
(2) 35kV以下の電線の種類
|
電線 |
一般 |
8.71kNのより線または、22mm2以上の硬銅より線 |
(3) 35kV以下の電線の高さ
通常 |
道路横断 |
鉄道横断 |
歩道橋 |
5m |
6m |
5.5m |
5m |
3. 特別高圧架空電線を市街地に施設する場合
(1) 規定
170kV未満のケーブルで施設する。
支持物に危険である旨の表示を見やすい箇所に設ける。
100kV超の場合、1s以内に地絡遮断。
(2) 電線の種類
電圧 |
電線 |
100kV未満 |
21.67kNのより線または、55mm2以上の硬銅より線 |
100kV〜130kV未満 |
38.05kNのより線または、100mm2以上の硬銅より線 |
130kV以上 |
58.84kNのより線または、150mm2以上の硬銅より線 |
(3) 電線の高さ
電圧 |
高さ |
35kV以下 |
10m(絶縁電線は8m) |
35kV超 |
10m+12cm×α |
α:10kVごと
(4) 経間距離
|
普通 |
市街地 |
木柱・A種柱 |
150m |
75m |
B種柱 |
250m |
150m |
鉄塔 |
600m |
400m |
(5) がいし装置
電圧 |
50%衝撃せん絡電圧 |
130kV以下 |
110%強化 |
130kV超 |
105%強化 |
4. 特別高圧架空電線の誘導障害
(1) 規定
常時静電誘導作用による人の感知がないように、地表上1mにおいて3kV/m以下とする。
電磁誘導作用により、弱電流電線に通信上の障害がないように施設する。
観測所に観測上の障害を及ぼさないように施設する。
電磁誘導作用により弱電流電線を通じて、人体に危害を及ぼさないように施設する。
電力保安通信設備は、電線路からの静電誘導作用・電磁誘導作用により、人体に危害を及ぼさないように施設する。
(2) 常時静電誘導作用による電話線路への障害
電圧 |
電話線路の誘導電流 |
60kV以下 |
12kmごと2μA以下 |
60kV超 |
40kmごと3μA以下 |
5. 特別高圧架空電線の架空地線
(1) 電線の種類:引張強さ8.01kN以上の裸線・φ5mmの裸硬銅線
(2) 安全率
硬銅線・耐熱銅合金線:2.2
その他電線:2.5
(3) その他
架空地線相互の接続は接続管を用いる
電線と架空地線の間隔が、支持点よりも小さくならないこと
遮蔽角45°以内