電気事業法・関連法規
1. 電気事業法
電気事業の運営を適正かつ合理的にならしめることによって、電器の使用者の利益を保護し、および電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事・維持・運用を規制することによって、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする。
2. 電気工作物の分類
(1) 事業用電気工作物
① 電気事業用電気工作物
② 自家用電気工作物
(2) 一般用電気工作物
ž 低圧受電（600V以下）
ž 受電点が構内にあって、構外の電気工作物と接続されていないこと
ž 爆発性・引火性の物がないこと
ž 小出力発電設備（合計20kW未満）
風力・太陽光：20kW未満
水力・内燃力・固体高分子型燃料電池：10kW未満
(3) 電気工作物に含まれない物
ž 30V未満
ž NTT・NHK
ž 航空機・船舶・車両・鉄道
3. 電気主任技術者
(1) 選任箇所
① 設置工事のための事業場
② 当該事業場を直接管理する事業場
③ 原子力発電所
(2) 監督範囲（電気工作物の工事・維持・運用）
① 第一種
② 第二種：170kV未満
③ 第三種：50kV未満（5000kW未満の発電所）
4. 事業用電気工作物
(1) 規制
ž 人体に危害を及ぼさない。物件に損傷を与えない。
ž 電気的・磁気的な障害を与えない。
ž 損壊により、一般電気事業者の電気供給に著しい支障を与えない。
(2) 自主的な保安
技術基準が設置者の維持基準、保安規定、使用前自主検査
(3) 国の直接監督
工事計画を経済産業大臣に認可、または事前届出（需要設備は産業保安監督部長）
① 認可：原子力発電所の設置
② 事前届出
ž 発電所
ž 170kV以上の変電所の設置（受電所では100kV以上）
ž 170kV以上の送電線の設置
ž 10kV以上の需要設備の設置
ž 10kV以上の需要設備にかかわる、10kW・20%の変更
(4) 自家用電気工作物設置者の電気事故報告
知った時から48時間以内に速報、30日以内に報告書
ž 3kV以上の工作物の破損・誤操作により、一般・特定電気事業者に供給支障を発生させた事故
ž 7万kW以上10万kW未満の供給支障事故で、供給支障時間が10分以上
① 電気火災事故
漏電・短絡・せん絡により建造物・車両その他の工作物・山林に火災が発生すること。
② 破損事故
電気工作物が変形・損傷・破壊・火災・絶縁劣化・絶縁破壊が原因で、機能が低下・喪失したことにより、ただちに運転を停止すること。
③ 供給支障事故
破損事故・誤操作・誤不操作により、使用者に対し電気の供給停止または電気の使用を緊急に制限すること。
5. 一般用電気工作物
(1) 電気供給者の調査義務
4年に1回調査を行い、結果を4年間保存する。
(2) 電気用品
一般用電気工作物の部分となり、又はこれに接続される機械、携帯用発電機、材料。
製造・輸入事業者は、事業開始の日から30日以内に、代表者氏名、型式、事業場所在地を経済産業大臣に届けなければならない。
① 特定電気用品
構造・使用方法・状況から見て、特に危険・障害の発生する恐れが多い電気用品。
販売までに、適合性検査を受け、証明書を保存する義務がある。
② 特定電気用品以外の電気用品
6. 電気工事士法
電気工事の作業に従事する者の資格・義務を定め、もって電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的とする。
7. 電気工事士
(1) 電気工事従事者の資格
① 第一種…実務5年（専攻3年）：自家用電気工作物（500kW未満）、一般用電気工作物
② 第二種…実務なし：一般用電気工作物
③ 認定電気工事従事者：自家用電気工作物（500kW未満・600V以下）
④ 特殊電気工事資格者：ネオン工事、非常用予備発電装置工事
(2) 主任電気工事士の必要資格
① 第一種
② 第二種取得後3年の実務
8. 電気工事業
(1) 電気工事業者
① 登録電気工事業者
電気工事業を営もうとする者は経済産業大臣または都道府県知事の登録を受けなければならない（有効期限5年）。
② 通知電気工事業者
自家用電気工作物の電気工事のみにかかわる電気工事業を営もうとする者は、事業開始10日前までに経済産業大臣または都道府県知事に通知しなければならない。
(2) 電気工事
① 一般用電気工事
営業所ごとに主任電気工事士をなければならない。
営業所に、絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計（交流電圧・抵抗値）を備える。
② 自家用電気工事
営業所に、絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計（交流電圧・抵抗値）・検電器（低圧・高圧）・継電試験装置・絶縁耐力試験装置を備える。