変電所母線
1. 母線結線方式の種類
@ 単母線方式
母線が二重で無い、単一の母線による単純な構成。所用スペースが少なく、経済的。
しかし、母線の事故時には、送電線・機器が停止してしまう。
小規模変電所に用いられる。
A 二重母線1ブスタイ方式
母線停止作業時に送電線や機器を停止する必要がない。
母線分割運用時の送電線と機器の組み合わせが自由である。
しかし、単母線方式に比べて、機器設備、所要面積が増える。
一般的な送電用変電所に用いられる。
B 二重母線4ブスタイ方式
二重母線を二分割した方式。系統運用に柔軟性がある。
母線の事故時に停電範囲を局限できる。
高信頼性の要求される、基幹系統の大容量変電所で用いられる。
C 二重母線1.5遮断器方式・2遮断器方式
母線停止作業時に送電線や機器を停止する必要がない。
高信頼性の要求される、基幹系統の大容量変電所で用いられる。
D 環状母線方式
母線停止作業時に、機器も停止してしまう。運用上、融通性がない。
2. 母線導体
導体外径を大きくすることにより、導体表面の電位の傾きを低下させ、コロナ放電を防ぐ。
@ より線:導体外径を大きくする。しかし、高電圧用では、導体費・工事費が増大する。
A パイプ型(中空型)母線:導体外径を大きくする。超高電圧用。
B 多導体(複導体)母線:導体外径を等価的に大きくする。超高電圧用。
※ コロナ放電
導体表面の電位の傾きが、空気の絶縁耐力30kV/cmを超えると、空気の絶縁が破れて放電を開始する。
コロナ放電が生じると、ラジオ受信に雑音障害を及ぼす。
3. 母線の保護継電方式
内部事故を検出すると、保護継電器が動作し、遮断器を開放する。
@ 差動方式
電流差動方式
a.過電流方式
母線の電流を、変流器二次側の差動回路に接続した過電流継電器で検出する。差電流は、外部事故ならば流れないが、内部事故ならば流れるので、整定値以上で内部事故と判定する。
b.比率差動方式
差動電流/抑制電流がある比率を超えたときに、内部事故と判定する。
電圧差動方式
差動回路に電圧継電器を接続し、過電圧が生じた場合に、内部事故と判定する。
A 位相比較方式
母線から流出する電流の位相を、変流器二次側の位相比較継電器で比較し、各回路の電流が同相であれば内部事故と判定し、逆位相があれば外部事故と判定する。
B 方向比較方式
系統電圧を基準とした電流の方向を、電力方向継電器で検出する。内部方向継電器(事故電流流入で動作)と外部方向継電器(事故電流流出で動作)が組み合わされている。
C 遮蔽母線方式(事故母線方式)
母線事故時に接地箇所に流れる電流を、地絡過電流継電器で検出する。
母線を包んだ金属遮蔽体(ダクト・金属管)を一点で接地する。