水力発電理論
1.ベルヌーイの定理
水圧管路の任意の点で、位置水頭・圧力水頭・速度水頭 の和は一定。
p :水の圧力[Pa], w :水の密度 1000[kg/m3]
∵エネルギー保存則より(一定),
噴出速度
2.流量一定の法則(連続の定理)
(一定) Q :流量[m3/s]
3.水力発電所出力
@ 理論出力
H :有効落差[m]
A 発電機出力
ηt :水車効率, ηg :発電機効率, η :総合効率
B 有効落差
Ho :総落差, Hl :損失落差
落差変化に対する流量変化
落差変化に対する出力変化
落差変化に対する水車回転速度の変化
4.揚水式発電所出力
@ 揚水入力
Qp :揚水量[m3/s], ηp :ポンプ効率, ηm :電動機効率, Ho +Hl :全楊程
A 発電機入力
[kW]
Qg :発電使用水量[m3/s]
B 所要貯水量
[m3]
Tp :揚水所要時間[h], Tg : 発電運転時間[h]
C 揚水式発電所総合効率(発電電力量/揚水電力量)
総合効率は揚水・発電時の水の速度・流量Qp , Qg には依存しない。
揚水電力量 [kWh]
発電電力量 [kWh]
5.水車の回転速度
@ 比速度:水車を相似的に縮小し、1mの落差において、1kWの出力を発生する場合の、1分間あたりの回転数(回転速度)
NS :比速度[mkW], N :水車回転速度[min-1], P :水車出力[kW], H :有効落差[m]
ただし、水車の出力P は、ノズル1個当たり、またはランナ1個当たりの出力。
∵ベルヌーイの定理より、
ノズル出口の流量 , から、
出力電力比 から、
半径比
回転速度 から、回転速度比は
ここで、 , , とすれば、
A 無拘束速度:水車の回転速度の上昇限界値。(水車がニードル弁またはガイドベーンを開いたまま、事故により無負荷になった場合、水車の速度上昇が定格回転速度以上になる。)
最高無拘束速度:水車はこれに1分間耐えられるように設計されている。
水車 |
H :適用有効落差[m] |
NS :比速度[mkW] |
最大無拘束速度に対する 定格回転速度の倍率 |
|
ペルトン |
250以上 |
|
12〜23 |
×1.7〜2.0 |
フランシス |
50〜500 |
|
60〜300 |
×1.6〜2.3 |
斜流 |
40〜180 |
|
120〜350 |
×1.7〜2.4 |
プロペラ |
10〜80 |
|
250〜850 |
×2.0〜3.0 |
B 定格回転速度
(1)表よりNS を決める。
(2)NSよりNを求める。
(3)同期発電機の極数pを求める。ただしpは偶数。
f : 周波数
(4)定格回転速度
6.調速機(ガバナ)
調速機は、水車の回転速度および出力を調整するため、回転速度変化に応じて自動的に水口開度(ニードル弁またはガイドベーン)を調整する。負荷の変化に応じて適合する流量を送り込み、周波数を一定に保つ働きをする。
@ 速度変動率:調速機が正常に働いているとき、発電運転中に突然無負荷(遮断)になった場合の速度変化の度合い。
:負荷遮断後の最大回転速度[min-1]
:遮断前の回転速度[min-1]
:定格回転速度[min-1]
A 速度調定率:調速機が正常に働いているとき、調速機に調整を加えずに、発電機の負荷を変化させた場合の速度変化の度合い(ただし両変化値ともに各々定格値で規格化)。
:定格出力[kW]
特に無負荷時については、
:無負荷時(出力 )の回転速度[min-1]
回転数は周波数と比例関係にある(同期発電機)。
水車には、負荷が増加すると、回転数が低下する特性を持たせてある。
7.負荷遮断試験
負荷遮断試験を行った場合、水車速度、水圧、電圧は上昇する。
A 水圧変動率:発運転中に突然無負荷(遮断)になった場合の水圧変化の度合い。
:負荷遮断後の最大水圧[m]
:水車中心における水車停止時の静水圧[m]
:静落差[m]
B 電圧変動率:発運転中に突然無負荷(遮断)になった場合の電圧変化の度合い。
:負荷遮断後の最大電圧[V]
:遮断前の電圧[V]
:定格電圧[V]
8.河川流量
河川の総水量
[m3]
:河川の流域面積[km2],:年間総降水量[mm]
:流出係数(河川流量と降水量の比)
年間平均流量