火力発電所

 

1. 汽力(蒸気火力)発電所の構成

@   ボイラ

飽和水から乾き蒸気を作る(等圧加熱→等圧・等温膨張)。

 

A   過熱器

高温高圧の過熱蒸気を作る(等圧加熱)。熱エネルギーは最高に達する。

 

B   高圧タービン(衝動タービン・反動タービン)

蒸気が仕事を行い、圧力・温度が低下する(断熱膨張)。エンタルピーが減少する。

 

C   再熱器

ボイラの再熱器に戻して、最高温度・圧力に戻す。

 

D   中圧・低圧タービン(反動タービン)

蒸気が仕事を行う(断熱膨張)。

 

給水加熱器:復水器で捨てる熱量を減少させるため、タービン蒸気の一部を抽気し、ボイラに入る前の水を加熱する。また、中圧・低圧では、蒸気の体積は大幅に増えるので、余剰分を抽気する。

 

脱気器:給水中の酸素を除去する(酸化腐食を防ぐため)。

 

E   復水器

海水を低熱源として冷却し、蒸気が水に戻る(等圧・等温膨張)。復水器の真空に向けて蒸気は流れている。

 

F   給水ポンプ

低圧の水を昇圧する(断熱圧縮)。

 

 

2. ボイラ

ボイラの種類

@   自然循環ボイラ

蒸発管中の水の比重と、降水管中の水の比重の差を利用して水を循環させる。構造が簡単で、広い圧力範囲(417MPa)に使われる。

 

A   強制循環ボイラ

循環ポンプで強制的に循環させ、水と蒸発管の熱交換を良くして蒸気を作る。ドラム・水管を小型化でき、高圧大型ボイラに使われる。起動時間が短い。

※ 水の圧力を増加させる(17MPa)と飽和水と飽和蒸気の比重の差が小さくなり、自然循環力が低下する。また、高圧では水管強度を確保するため、径が細くなり、管内抵抗が増す。

 

B   貫流ボイラ

給水ポンプで水を押し込み、蒸発管の中で直接、蒸発・過熱される。ドラムや降水管を持たない。ボイラの配列・高さを自由に設計でき、小型化できる。大容量の超臨界圧ボイラとして使われる。熱容量が小さく、急速始動が可能。

蓄熱容量が小さいので、負荷変化に対する制御が必要となる。給水中の不純物が直接タービンに流入するので、復水脱塩装置の設置など十分な水質管理が必要。

※ 蒸気が臨界点(22.1MPa,374)以上になると、水が蒸発管の中で直接蒸発する。

 

C コンバインドサーキュレーション型ボイラ

強制循環ボイラと貫流ボイラを組み合わせた、超臨界圧用ボイラ。

起動時・低負荷時には、循環ポンプで強制循環する。

高負荷時には、循環ポンプを停止し、貫流ボイラとして運転する。

切換は自動的に行われる。 

 

 

ボイラ設備

@   火炉

燃料を燃焼させる。蒸発管に覆われていて、火炎の熱が吸収される。

 

A   過熱器

ボイラ・ドラムからの飽和蒸気を加熱し、過熱蒸気を作る熱交換器。放射型、接触型、放射接触型、対流型がある。

 

B   再熱器

高圧タービンで仕事をした低温低圧の蒸気を、ボイラで再加熱し、再び中圧・低圧タービンで仕事をさせる。熱効率向上、タービン翼の腐食防止の目的がある。

 

C   節炭器

煙道ガスの余熱を利用して、給水を加熱する。熱効率向上、ドラムの熱応力軽減の目的がある。

 

D   空気予熱器

節炭器出口の煙道ガスの余熱を利用して、燃焼用空気を200300℃まで加熱する。燃焼効率・熱効率向上の目的がある。

 

E   通風器

燃焼用空気を供給する。電動機駆動。

 

F   集塵器

燃焼ガス中のばいじんを除去する。遠心力集塵器、電気集塵器がある。

 

 

ž  蒸気温度の制御

蒸気温度の大幅変動は、熱応力による熱疲労を起こし材料の寿命を縮め、熱効率低下も招く。温度を制御する方法として、

(1) 蒸気を冷却する

高温蒸気中に直接冷却水を噴霧し、温度を低下させる。

 

(2) バーナ角度を変更する

バーナの噴射角度を上向きにすれば、火炉出口のガス温度が高くなる。

 

(3) 燃焼ガス再循環法

節炭器を出たガスの一部を再循環ファンによってバーナ部分の下方に再循環させ、火炉内ガス温度を低下させる。

 

(4) ガスバイパス法

煙道を二つに分け、それぞれにダンパを設けて通過ガス量を調節し、それぞれに設けた過熱器・再熱器・節炭器の伝熱量を制御することによって蒸気温度を一定に保つ。

 

 

3. タービン

タービンの種類

@   復水タービン

復水器を備え、ボイラからの蒸気をごく低圧まで膨張させて、熱エネルギーを十分利用する。一般の発電所で使われている。

 

A   抽気復水タービン

タービン中段から蒸気を抽出し、工場用やその他に利用する。自家用発電設備に使われている。

 

B   背圧タービン

タービン排気をある圧力で工場用蒸気および所要箇所へ直接送気する。復水器は無い。自家用発電設備に使われている。

 

C   抽気背圧タービン

タービン排気に加え、タービン中段からも蒸気を抽出する。復水器は無い。自家用発電設備に使われている。

 

 

タービンの軸構成

タービンが大容量化するに従って、最終段付近は蒸気が膨張し体積が増加するため、車室の直径を大きく、タービン翼を長くする必要がある(ただし機械的強度から、長さにも限度がある)。タービンに比べ、発電機容量は小さいので、単機あたりの容量に限度がある。

 

@   タンデムコンパウンド型(くし型)

多車室型タービンで、車室が一つの軸芯上にくし形に配列されている。

  

A   クロスコンパウンド型(2軸型)

多車室型タービンで、二つ以上の軸芯のもの。

高圧-中圧タービン:3600,3000min-1

低圧-低圧タービン:1800,1500min-1

 

メリット

(1) タンデムコンパウンド型の2倍の出力。

(2) タービンの組あわせを、高圧-中圧・低圧-低圧に分割することで、低圧タービンの回転速度を低速にできるため、タービン翼長を長く蒸気通路面積を大きくでき、効率の向上が図れる。

(3) 復水器を共有できる。

 

デメリット

(1) 各軸単独で運転できない。

(2) 発電機・励磁機が2台必要となり、高価。

(3) 建物が大きくなる。

 

 

ž  タービン・発電機の始動

(1) 循環水ポンプを起動し、復水器に冷却水を通水する。

(2) 空気抽出器で復水器の真空度を上昇させる。

(3) タービンに蒸気を送り起動する。

(4) 励磁機で発電機に励磁をかけ、系統に同期させて並列する。

 

ž  タービンの変圧運転

定圧運転と比べた場合、部分負荷でも熱効率があまり低下しない。

近年、大容量ユニットにおいても中間負荷火力としての運用が要求される。これに対応したボイラとして、変圧運転用超臨界圧貫流ボイラが使われる。

(1) 負荷変動に対して、主蒸気圧力を変えることによって、タービンに流入する蒸気量を変える。加減弁を変化させることなく全開のままなので、絞り損失が少なく、タービン効率が高い。

(2) 加減弁が全開なので、主蒸気温度がそのまま高圧タービン入口蒸気温度となり、高圧タービン内の蒸気温度・排気温度が負荷にかかわらず一定。部分負荷でも再熱蒸気温度が低下せず、熱効率の低下も小さい。

(3) 変圧により、給水圧力が下がり、給水ポンプ動力も減少し、部分負荷運転に対応するので、熱効率の低下が小さい。

(4) 蒸気圧力が低下するため、サイクル熱効率は低下するが、プラント全体の熱効率は高くなる。

(5) 高圧・中圧タービン蒸気温度が高く保てるので、温度変化が小さく、起動時間を短縮できる。タービンの熱応力も軽減される。

 

ž  臨界速度

回転子の固有振動数と一致するようなタービン発電機の回転数。臨界速度になると、共振を起こして大きな振動を生じ、軸受の損傷、動翼の折損など大事故に至る。臨界速度が定格速度付近に現れないように設計され、始動停止の際には臨界速度を急速に通過するように運転する。

臨界速度は、高圧-中圧タービン発電機では定格速度より低く、低圧-低圧タービン発電機や水車発電機では定格速度より高い所にある。

 

 

調速機

負荷の変動に応じて、蒸気タービンの回転速度を一定に保つ。速度調定率は45%

@   機械式調速機

蒸気タービン回転速度の変化による、遠心力の変化を検出する。

 

A   油圧式調速機

タービン軸に直結されたポンプの油圧が、回転速度の2乗に比例することを検出する。

 

B   電気式調速機

回転速度に応じた電気信号で動作する。

 

 

蒸気タービンを緊急停止(トリップ)させる保安装置

@   非常調速機

負荷遮断により蒸気タービンの速度が上昇すると、定格速度の111%の値で動作し、タービンへの蒸気流入を遮断し、タービンを停止させる。

 

A   軸受油圧低下トリップ装置

タービン軸受油圧が規定値以下で運転を継続すると、軸受が焼損するので、タービンを緊急停止させる。

 

B   軸受温度上昇トリップ装置

軸受出口の油温度が規定一以上の場合に、タービンを停止させる。

 

C   推力(スラスト)軸受摩擦遮断装置

タービンロータの位置がずれた場合、油圧の変化を検出し、タービンバルブを急速閉止する。

 

D   復水器真空低下トリップ装置

真空度が低下した場合、タービン排気温度が上昇すると、タービン出力が低下し危険なため、タービン停止用の弁を作動させる。

 

 

4. 給水ポンプ

給水ポンプの所要動力は大きく、熱効率に与える影響が大きい。

駆動方式

@   電動機駆動方式

操作や構造が簡単。小容量汽力発電所で採用されている。給水調整は、給水調整弁でおこなわれるため(電動機の回転数は一定のため)、絞り損失が大きい。

 

A   蒸気タービン駆動方式

主タービンの蒸気を途中で抽気して給水ポンプ用タービンの動力とする。大容量汽力発電所で採用されている。給水調整は、給水ポンプ用タービン入口の加減弁を調節することによって給水ポンプの回転数を変えているので、絞り損失は無い。

 

 

5. 復水器(コンデンサ)

冷却水ポンプ、復水ポンプ、空気抽出器等からなる。海水・河川水などの冷却水で、タービンで仕事を終えた蒸気を冷却し、タービンの排気圧力を低下させて真空を作るとともに復水する。

燃料のエネルギーの約50%が奪われ、熱サイクル中で最も大きい損失となる。

 

種類

@   表面復水器:発電用

A   噴射復水器:温水利用工場用

B   蒸発復水器:多量の冷却水が得られない場合

 

 

6. 火力発電の制御

火力発電所の制御方式

タービンに供給する蒸気流量を制御することにより、タービン発電機出力を制御する。

 

@   ボイラ追従方式

ボイラ保有熱量を利用して、過渡的な蒸気圧力変化を吸収する。負荷指令に対し応答が速い。ドラム型(自然循環・強制循環)ボイラに適する。

(1) タービンの蒸気加減弁開度を変化させる。

(2) そこで生じた蒸気圧力の変化を検出する。

(3) ボイラへの燃料供給量、空気量、給水量を制御する。

 

A   タービン追従方式

ボイラ側の制御は安定する。蒸気加減弁の開度調整に必要な蒸気圧力変化までに時間遅れを伴い、負荷指令に対し応答が遅い。貫流ボイラに適する。

(1) ボイラへの燃料供給量、空気量、給水量を変化させる。

(2) そこで生じた蒸気圧力の変化を検出する。

(3) タービンの蒸気加減弁開度を制御する。

 

B   ボイラ追従方式とタービン追従方式を組み合わせた方式

負荷指令に対し応答が速く、ボイラ側の制御も安定する。大容量の火力発電所で採用されている。

(1) ボイラとタービンに並列に信号を加える。

(2) ボイラへの燃料供給量、空気量、給水量と、タービンの蒸気加減弁開度を同時に協調的に制御する。

 

火力発電所の所内単独運転

電力系統の事故によって、系統から分離された場合、所内負荷をもって運転を継続する。

(1) ボイラの安定燃焼

バーナ本数制御、燃料・空気量の絞り込みを適正に行う。主蒸気圧力の過上昇を防止するため、ボイラの過剰エネルギーを復水器へ逃す。

(2) タービンの熱応力

蒸気温度はできるだけ高く保ち、急変を防ぐ。

(3) 周波数制御

タービン負荷急減により、周波数が上昇するため、速やかに低格周波数で運転できるように制御する。

 

 

電力系統事故により周波数が低下した場合

大容量電源の脱落により、周波数が異常に低下した場合、タービン、発電機、補機類が影響を受ける。

(1) 発電所出力変動、ボイラ・タービンへの影響

ž  タービンは数時間程度であれば、過負荷運転することができる(定格+5%)。

ž  ボイラ、発電機は過負荷運転の制約にはならない。

ž  過負荷運転を行う場合には、タービンの蒸気流量を増やす方法がとられる。

ž  過負荷運転時の出力は復水器の冷却温度に左右される。

ž  タービン翼・スラストの振動、励磁機ブラシのスパーク、調整弁開度の余裕に留意する。

 

(2) 所内補機への影響

ž  ボイラ給水ポンプ、復水器冷却ポンプの回転速度が低下し、圧力・流量が低下するので、ボイラ蒸気圧力を下げざるを得ず、発電所出力は低下する。

ž  ボイラ通風器、微粉炭器の回転量が低下すれば、燃焼効率が低下する。

ž  ボイラの流量、復水器の真空度などに注意しながら、ボイラ蒸気圧力や発電所出力を制御する。

 

(3) 発電機の解列

低周波数運転限界を超えた場合は、発電機を解列しなければならない。

ž  タービン動翼の共振が問題となる。

ž  特に低圧タービンの動翼は固有振動周波数が低く(臨界速度:固定子の固有振動周波数と異なる)、低周波運転すると、共振周波数付近で運転することになってしまう。

 

 

火力発電所の所内補機電源

ユニット運転中は発電機から所内変圧器で降圧した電力を受電する。

停止中は外部系統から起動変圧器で降圧した電力を受電する。

@   並列切換方式

ž  通常の起動停止時に手動で行われる。

ž  いったん二つの系統から受電した後、一方を遮断し、停電させることなく切換可能。

ž  横流を制御するため、異系統間の位相差・電圧差を一定値以内とする必要がある。

 

A   瞬時切換方式

ž  発電機などの事故時に自動で行われる。

ž  所内変圧器側を停電させた後、起動変圧器側から受電する。

ž  補機電動機への機械的衝撃を防止するため迅速に切換を行う必要がある。

 

 

7. 火力発電の燃料

@ 石炭

燃焼時にNOxやばいじんが発生する。

燃焼後に灰が出る。

 

A 重油

原油を精製して作られる。

粘度が高いので、燃焼の際に粘度を下げるために加熱する。

 

B   原油

ž  硫黄含有率が低い。

ž  重油に比べ揮発分が多く、燃焼性が良くボイラ効率が向上する。

ž  産地から直接安定供給できる。

 

C   LNG(液化天然ガス)

ž  主成分はメタンで、硫黄分を含まない。

ž  気体の600分の1の体積の液体(-162)

ž  集塵器や灰処理装置が不要。

ž  ガスの放射熱は少なく、局部過熱が起こらない。

ž  火炉負荷は高く、火炉容積は小さい。

ž  灰付着がないので熱伝達がよく、伝熱面積を小さくでき、ボイラは小型になる。

ž  炭化水素なので、排ガス中に水分を生じ、ボイラ効率が若干低下する。

ž  ガス特有の防爆安全対策が必要。

 

 

安全留意事項

ž  可燃ガスが漏えいしないこと。

ž  燃料貯蔵タンクは、内部に可燃性ガスが充満しないようにする。

ž  危険範囲内に設置する装置は防爆構造とする。

ž  燃料配管内の異常圧力上昇を防止するため、逃し弁を設ける。

ž  可燃ガスが漏えいした場合に備え、可燃ガス濃度支持警報器を設置し、必要箇所に換気ファンを設置して、強制吸入拡散する。

ž  静電気帯電防止のため、機器配管には接地工事を施す。

ž  万一の火災に備え、消火設備を強化する。

 

 

8. 火力発電の大気汚染対策

@   硫黄酸化物

ž  低硫黄燃料を使用する。またはブレンドにより燃料中の硫黄分を低減する。

ž  硫黄を含まない燃料(LNG、ナフサ)を使用する。

ž  排煙脱硫装置の設置

石灰石こう法:SOxを石灰乳液に吸収させて亜硫酸カルシウムとして除去し、それを空気酸化させて石こうを副生する。

 

 

A   窒素酸化物

ž  低窒素燃料である軽質油(ナフサ)やガスを使用する。

ž  燃焼温度が高いと活発に生成されるので、緩慢な均一燃焼に改善する。

(1) 二段燃焼法

燃焼空気を二段に分けてボイラに供給する。

 

(2) 排ガス混合方式

燃焼空気に排ガスを混ぜて酸素濃度を低くする。

 

(3) NOxバーナ

バーナ入口に排ガスを混合した燃焼用空気のほかに、燃焼後の排ガスを直接送り込み、燃料の着火を徐々に行わせる。

 

ž  排煙脱硝装置の設置

乾式アンモニア選択触媒還元法:排ガス中にアンモニアガスを添加し、触媒作用により、NOxを無害な窒素と水に還元する。

 

 

B   ばいじん

ž  電気式集塵器(直流高電圧によるコロナ放電)・遠心力集塵器の設置

 

 

9. ガスタービン発電所

ガスタービン発電の特徴(汽力発電所と比較)

ž 長所

(1) 起動停止が簡単で短時間に行なえ、運転操作が容易で自動化もしやすい。

(2) 設備が簡単で小型軽量。

(3) 冷却水を大量に必要としないため、接地点の選定が容易。

 

ž 短所

(1) 空気圧縮機の所要動力が大きいため、熱効率が低い。

(2) 大容量機の製作が困難。出力範囲は、小容量から250MW程度まで。

 

@   オープンサイクルガスタービン

ž  圧力レベルが低く、ガスタービン本体が大きい。

ž  大気温度が上がると熱効率が低下する。

ž  30分以内に始動でき、負荷追従性は良いため、非常用電源やピーク負荷用に使われる。

ž  騒音が大きい。

ž  燃焼ガスを大気中に放出するので、窒素酸化物も同時に放出される。

 

サイクル

(1) 圧縮機で燃焼用空気を吸入圧縮する。

(2) 燃焼器で燃料油を噴射して燃焼させ、高温高圧ガスを発生させる。

(3) タービンに送り動力を発生させる。

(4) 排ガスを大気中に排出する。

 

A   クローズドサイクルガスタービン

ž  圧力レベルが高く、ガスタービン本体は小さい。

ž  熱効率は、大気温度変化の影響をほとんど受けない。

ž  始動に1時間以上かかり、負荷追従性は悪いため、利用率の高いベース負荷用に使われる。

ž  騒音は小さい。

 

サイクル

(1) 圧縮機で空気を吸入圧縮する。

(2) 熱交換器で、タービン排気を使って予熱する。

(3) 空気加熱器で加熱する。

(4) タービンに送り動力を発生させる。

(5) 熱交換器で排気を熱交換して、前置冷却器で冷却する。

 

 

ž 大気汚染(窒素酸化物)対策

燃焼温度を低く抑え、均一な燃焼が得られるようにすること。

@  水または蒸気噴射法:水または蒸気の噴射によって、燃焼室の局部温度上昇を抑制し、NOx1/21/3に低減する。

A  乾式NOx低燃焼法:多量の空気を供給して燃焼室の温度を低下させ、NOx1/2程度に低減する。

B  触媒燃焼方式

C  排煙脱硝装置

 

 

10.コンバインドサイクル発電所

コンバインドサイクル発電の特徴(汽力発電所と比較)

ž 長所

(1) 熱効率が高く(4350%)、軽負荷でも効率の低下が少ない。⇔汽力発電所:40%

(2) 温排水量が少ない(6080%)。排熱が少ない。

(3) 起動停止時間が短い。ゆえに中間負荷の供給に適する。

ž 短所

(1) 最大出力が外気温度の影響を受けやすい。

(2) 燃料に制限を受ける。使用可能なのはLNGLPG、灯油。

 

@   排熱回収サイクル

ž  一般的に多く使われる。

ž  ガスタービンの排気を排熱回収ボイラに導き、発生した蒸気で蒸気タービンを駆動する。

 

A   排気再燃サイクル

ž  ガスタービンの排気をボイラの燃焼用空気として利用する。改造しやすいので、リパワリングに採用される。

※ リパワリング:既設の汽力発電所にガスタービンを追設し、出力増と効率向上を図る。

 

B   排気助燃サイクル

ž  ガスタービンの排気を排熱回収ボイラに導く途中で助燃を行い、蒸気の温度・圧力を上げる。

 

C   給水加熱サイクル

ž  ガスタービンの排気で蒸気サイクルの給水ヒータを加熱する。

 

 

11.ディーゼル機関発電所

ガスタービン発電と同様の内燃力発電方式。

長所

(1) 起動停止が簡単で短時間に行なえ、運転操作が容易で自動化もしやすい。

(2) 設備が簡単で小型軽量。

(3) 冷却水を大量に必要としないため、接地点の選定が容易。

(4) 熱効率が、ガスタービンより高い(3540%)

(5) 点火装置が不要で、揮発性の悪い安価な重油も燃料に使用できる。

 

短所

(1) 往復運動のため、騒音や振動が大きい。劣化・摩耗も激しい。

(2) 大容量機の製作が困難。

 

設備

@過給機

吸入空気を大気圧の23倍に圧縮してシリンダ内に圧入し、吸気量を強制的に増やす。

 

Aフライホイール(はずみ車)

クランク軸に取り付けられる鋳鉄製の車輪。爆発行程の時だけ回転力が発生するので、他の行程の時にはエネルギーを放出し、回転速度を平均化する。

 

4サイクル方式(吸入→圧縮→爆発→排気)

(1) ピストンが下降し、燃焼用空気を吸入する。

(2) ピストンが上昇し、空気を圧縮する。圧縮空気は燃料発火点以上の高温になる。

(3) 燃料がシリンダ内に噴射され、高温高圧空気中で自然発火し、燃焼ガスとなってピストンを押し下げる。

(4) ピストンが再上昇し、燃焼ガスをシリンダ内から排出する。

 

 

戻る

 

inserted by FC2 system