太陽光発電
1. 太陽電池
光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。
@ 結晶シリコン
単結晶シリコンは、変換効率が高く、高信頼性だが、高純度シリコンを利用するため、コストが高い。
多結晶シリコンは、変換効率では劣るものの、コストと性能のバランス面から、現在主流となってきている。薄膜化も進んできている。
結晶シリコンは、高温でバンドギャップが減少し、出力電圧が低下してしまう。
A アモルファス(非結晶)シリコン
アモルファスは、変換効率が低いが、シリコン原料が少なく抑えられ、安価で省資源化にもなる。大面積化も可能で、大量生産向きであるため、建材一体型として普及している。
また、エネルギーバンドギャップが大きいため、高温でも出力電圧が落ちない。
さらに、結晶より光吸収係数が大きく、薄膜でも太陽電池として作動する。
ただし、性能劣化しやすい。
シリコン小面積セルの変換効率 |
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単結晶 |
バルク多結晶 |
薄膜多結晶 |
アモルファス |
24.7% |
19.8% |
16.6% |
12.7% |
B 化合物半導体
材料の組み合わせで、バンドギャップを自由に変えられる。
太陽光のスペクトルにマッチさせたり、薄膜化し多接合型太陽電池に応用される。
タンデム(多接合)構造
バンドギャップの異なる薄膜セルを重ねることにより、広い帯域の光を利用でき、高い変換効率が実現できる。
2. 太陽光発電の原理
半導体の性質
バンドギャップ(価電子帯と伝導帯のエネルギー差)が小さい(1〜2eV)。
バンドギャップよりも大きい光子エネルギーをもった光が入射すると、電子が伝導帯に励起され、電子伝導性が増大する。
光起電力効果(内部光電効果)
pn接合領域に光が照射されると、価電子帯の電子が伝導帯に励起され、光電子と正孔が発生し、正孔がp型層へ移動、電子がn型層へ移動、起電力を発生する。このとき、電極を取り付けると、直流電流を取り出せる。
太陽光発電の変換効率
たとえば、単結晶の理論変換効率は27%。損失の内訳として、
@ バンドギャップ以下のエネルギーの長波長光は変換できず、透過する
A バンドギャップを超えるエネルギーの短波長光では損失(hν-Eg)を生じる
B 電圧因子損失
実際の変換効率は理論変換効率よりももっと低くなる。損失の内訳は、
@ 反射損失
⇒対策として、反射防止膜(ARC)、テクスチャ構造(乱反射させる)
A 光吸収の不足:光吸収係数は短波長ほど大きく、バンドギャップ付近は吸収しにくい
B バルク内・表面キャリアの再結合損失:電流として取り出されないうちに消滅
⇒対策として、裏面反射電極(光閉じ込め構造)
C 表面電極による入射光の制限
⇒対策として、電極面積を小さくする
D 直列抵抗損失