発電機・設備

 

1. 発電機の種類

@ 同期発電機

ほとんどの水車発電機(普通型・かさ型)・タービン発電機に使われる。

力率調整可能:発電機の励磁電流を増減することで無効電力を調整する。

揚水発電では電動機としても作動する。

電機子巻線は、電圧が高く、結線も複雑。それに対し、界磁は、直流低圧回路。

 

ž 回転電機子系同期発電機:小容量の特殊なものにのみ使われる。

 

ž 回転界磁形同期発電機:最も多く用いられている。水車発電機には凸極機が、タービン発電機には円筒極機が用いられる。

              

 

水車

タービン

据え付け

縦軸

横軸

短絡比

(0.91.2)

鉄機械

(0.61.0)

銅機械

極数

多極

2または4

回転速度

低速

(1001000min-1)

高速

(15003600min-1)

回転子

凸極

円筒極

回転子直径

回転子冷却

空気冷却

水素冷却

同期インピーダンス

電圧変動率

 

 

A 誘導発電機

小容量の水車発電機に使われる。構造が簡単だが、力率調整ができない。

回転磁界を作るための別の交流電源が必要となる。

(1)  利点

回転子がかご型なので、回転数を高くできる。(固定子は同期機と同じ)

同期化の手数が不要。同期外れがない。

励磁機、電圧調整装置、調速機が不要。

短絡事故の際に短絡電流の減衰が速く、持続しない。

 

(2)  欠点

系統からの励磁が必要で、単独運転ができない。

負荷に無効電力を供給できない。力率・電圧・周波数の調整ができない。

励磁電流として系統から無効電力をとるので、系統の力率を悪くする。

低負荷で力率が悪くなる。

系統への並列時に大きな突入電流が流れる。

回転子と固定子の空隙が小さいので取り扱いに注意する。

 

 

同期発電機

誘導発電機

回転子

界磁巻線があり複雑

かご型回転子で簡単

励磁装置

必要

不要

容量

小〜大容量機

小容量機

保守性

励磁装置の保守が必要

容易

系統への並列

同期並列のため、過渡電流は小さい

無電圧で強制並列のため、過渡電流が大きい

無効電力・力率

調整可能

調正不可能

単独運転

可能

不可能

価格

高価

安価

 

 

2. 発電機の冷却方式

@ 空冷方式(小型機・中型機・大型低速機用)

水車発電機の回転子・固定子コイルを冷却する。通風させる場合と、循環させて熱交換器を使う場合がある。

 

A 水素冷却方式(大型高速機用)

タービン発電機の回転子・固定子コイルを直接冷却する。熱交換器を使った閉鎖風道循環形の密封方式。空気が混入すると爆発の恐れがある。

ž  水素冷却により出力25%上昇。(熱伝達率は空気の6.69倍、表面熱伝導率は空気の1.35倍)。

ž  水素の密度は空気の7%なので、風損を1/10に減らし、効率を1%高める。騒音も減少させる。

ž  不活性で難燃性なので、絶縁寿命が長くなる。

ž  コロナが発生しても影響が少ない。コロナ電圧が高いのでコロナ損が小さい。

 

※ 水素冷却の監視項目

ž  温度の検出  固定子巻線温度:スロット内の埋め込み温度計素子

回転子巻線温度:界磁巻線の抵抗値

ž  密封構造、防爆構造:固定子枠は爆発圧に耐える構造

ž  密封油装置:回転子が固定子を貫通する部分でのガス漏れ防止

ž  水素ガス純度(95%以上)・圧力を適正に保つ。規定値から外れた場合の警報器。

ž  点検修理時は二酸化炭素で置換してから水素ガスを充満させる。

 

B 水冷・油冷方式(大型高速機用)

タービン発電機の固定子コイルを、絶縁体を介さず直接冷却する。

水は空気に比べて50倍も冷却能力に優れる。

(絶縁油の熱伝達率は空気の40倍、比熱は空気の20倍)

 

 

3. 同期発電機の結線

電機子コイルの結線は、Y結線が採用される。

ž  中性点が得られ、地絡継電器を接続できる。高抵抗や変圧器を介して接地される。

ž  Δ結線は、磁気飽和や磁束分布の不均一のため、第三調波電流が各相内を環流して、電気子巻線を過熱する。

ž  相電圧が線間電圧の で、電気子コイルの絶縁が容易になる

 

 

4. 同期発電機の理論

(1)  電機子反作用

回転磁界が、界磁の起磁力(主磁束)に影響すること。電機子の起電力を変化させる。負荷電流の力率によって異なる。

@ 増磁作用

コンデンサのみが接続され、電気子電流が無負荷誘導起電力より90°進んでいる場合は、増磁され、誘導起電力は増加する。

 

A 減磁作用

リアクトルのみが接続され、電気子電流が無負荷誘導起電力より90°遅れている場合は、減磁されて、誘導起電力は減少する。

 

 

(2)  同期インピーダンス

同期インピーダンス

 

ただし、 なので、

ra :電機子巻線の抵抗, Xs :同期リアクタンス

 

 

(3)  同期発電機の出力

同期発電機は同期速度で回転しなければならない。

負荷が重くなっても、速度は変わらず、内部相差角δが変わる。

一相分の出力は

 

V :端子電圧, E :誘導起電力, Xs :同期リアクタンス

内部相差角90°のとき、出力は最大になる。

 

同期化力は、

内部相差角0°で同期化力は最大になる。

 

三相分の出力(定格出力)は

 

Vl :定格電圧(線間電圧), El :線間の誘導起電力, Xs :同期リアクタンス

 

なお、発電機が負荷に電力を送るためには、内部相差角が正で、誘導起電力が、端子電圧より進んでいなければならない。

 

 

(4)  同期発電機の同期速度

周波数f と極数p で決まる。

 

 

5. 同期発電機の特性

 

(1)  特性曲線

@ 無負荷飽和曲線(界磁電流−無負荷端子電圧)

端子を開放して、発電機を定格速度で運転した時の、界磁電流と無負荷端子電圧の関係。

定格電圧付近で鉄心の磁気飽和を生じる。

 

A 三相短絡曲線(界磁電流−短絡電流)

三端子を短絡して、発電機を定格速度で運転した時の、界磁電流と短絡電流の関係。

短絡時は、電機子巻線抵抗≪同期リアクタンスなので、電流は90°で力率0の遅れ電流となり、減磁作用のため、磁気飽和を生じない。

 

(2)  同期インピーダンス

ある特定の励磁電流iに対する無負荷端子電圧V1 を、iに対する短絡電流I1で割れば、一相分の同期インピーダンスが求められる。

 

また、百分率同期インピーダンスは短絡比の逆数で、基準電圧に対するインピーダンス降下の百分率を表す。

 

(3)  短絡比

 

 

短絡比大

鉄機械

短絡比小

銅機械

効率

悪い

良い

同期インピーダンス

電機子反作用

電圧変動率

安定度

良い

悪い

線路充電容量

 

鉄機械:大形で重い。界磁や電機子が大きく、鉄を多く使う。巻芯部分よりも鉄芯部分の割合が大きい。高価。

銅機械:小型で軽量。電機子の巻数が多く、銅を多く使う。

 

(4)  電圧変動率

界磁・回転速度を変えることなく、定格出力から無負荷にした時の、出力電圧の変動の割合。

 

Vn :定格端子電圧, V0 :定格から無負荷にした時の端子電圧

 

 

6. 同期発電機の励磁方式

主発電機の電機子を動かすために、界磁巻線に励磁電流を供給する直流電源に相当する励磁装置を必要とする。

@ 直流励磁機方式

励磁機である直流発電機から発生した電流を、スリップリングを経て、界磁巻線に供給する。励磁機自身の界磁は直流電源から供給する。

ブラシや整流子の保守が必要。大容量化が困難。

従来から使われる方式。

 

A 交流励磁機方式

励磁機である交流発電機から発生した電流を、シリコン整流器で整流し、界磁巻線に供給する。励磁機自身の界磁は直流電源から供給する。

整流子がないので、その分保守が容易。

ž コミュテータレス:回転界磁形同期発電機に用いられる。整流子なし。

ž ブラシレス:回転電機子系同期発電機に用いられる。スリップリングとブラシもないのでさらに保守が容易。ただし、シリコン整流器が回転電機子上に設置されているため、遠心力を受ける。

 

B 静止形励磁方式(整流器励磁)

主発電機(主母線)から発生した電力の一部をサイリスタで整流し、界磁巻線に供給する。いわゆる自励式。励磁機の遅れがないので、速応性が高い。

整流子とブラシが不要なので保守が容易。

 

 

7. 同期発電機の電圧調整

励磁の制御により遅相・進相運転を行い、電圧調整を行う。

励磁制御の命令は、系統安定化装置、自動電圧調整装置(AVR)から出される。

 

(1)  発電機の遅相運転(励磁電流を増加→端子電圧上昇→遅れ無効電力供給)

夏の昼間など、負荷の大きい時に行う、高励磁の運転。遅れ無効電力を供給する。

変圧器のインダクタンス分をキャンセルするために、発電機の遅相運転を行ったり、受電端に進相コンデンサを用いたり、同機調相機の過励磁運転を行う。

 

遅相運転による影響として、

ž  界磁巻線・電機子巻線・電機子鉄心の温度上昇

高励磁により、界磁巻線の温度は、確実に上昇する。

 

(2)  発電機の進相運転(励磁電流を減少→端子電圧低下→進み無効電力供給)

夜間など、軽負荷の時に行う、低励磁の運転。進み無効電力を供給する。

特に、容量性負荷(長距離送電線・電力ケーブル)の充電電流によって、軽負荷時には、送電端よりも受電端の電圧が高くなる(フェランチ効果)。この対策として発電機の進相運転を行ったり、分路リアクトルを用いたり、同期調速機の低励磁運転を行う。

 

進相運転による影響として、

ž  電機子鉄心端部の過熱

不飽和となって、鉄心端部に侵入する漏れ磁束が増大し、鉄心端部に過電流が誘導される(渦電流損による過熱)。

ž  安定度低下

起電力の低下によって同期化力が小さくなり、安定度が低下する。

ž  所内電圧の低下による補機への影響

ポンプ動力や冷却能力が低下する。

 

(3)  自動電圧調整装置(AVR):応答速度の速いサイリスタ・交流励磁機が使われる。

出力変動検知→AVR→励磁機の励磁電流制御→発電機の界磁電流制御→出力電圧調整

 

ž  定常運転時に電圧を一定にする機能

負荷が変化するときに電圧を維持し、無効電力を調整し、動態安定度を向上させる。可能出力曲線の領域を逸脱しない。

ž  電圧急変時に速やかに電圧を回復させる機能

負荷遮断時の電圧を抑制し、過渡安定度を向上させる。

 

(4)  系統安定化装置

出力・回転数・周波数変化→AVR→制動効果→電力系統の動揺抑制

 

 

8. 同期発電機の自己励磁防止

(1)  自己励磁:無励磁でありながら発電機電圧が増加すること

充電電流(進相)増加→増磁→発電機電圧上昇→充電電流(進相)増加

 

容量性負荷を接続すると、発電機に進み位相の充電電流が流れる。すると、増磁作用による電機子反作用のため、残留磁気によって起電力が発生し、無励磁のままでも危険電圧まで達することがある。強制的に高励磁遅相運転させられているようなものである。

 

(2)  自己励磁の発生条件

原点付近で、

送電線路の充電特性曲線の傾き>発電機の無負荷飽和曲線の傾き

ならば、自己励磁現象は起こらない。

 

(3)  自己励磁による異常防止

自己励磁することなく、送電線を充電する方法

@ 短絡比の大きい発電機の使用

同期インピーダンスは小さくなり、増磁電機子反作用が小さくなる。

 

A 複数の発電機を母線に接続する

容量と短絡比の積に比例して、充電電流が分担される。

 

B 受電端にリアクトル・変圧器を接続する

遅れ電流が流れ、送電線の進相電流を打ち消す。

 

C 受電端に同機調相機を接続する

同機調相機を低励磁運転させ、送電線から遅れ電流をとらせ、進み電流を減少させる。

 

※ 同機調相機:電力系統の力率改善・電圧調整を行うために受電端に並列接続される無負荷の同期電動機

ž  過励磁運転:コンデンサとして作用、送電線の力率を良好にし、電圧降下を減少させる。

ž  低励磁運転:リアクトルとして作用、発電機の自己励磁による端子電圧の異常上昇を防ぐ。

 

 

9. 同期発電機の不平衡電流対策

逆相電流は、回転子の回転方向と反対方向の回転磁界を生じ、それに誘起された回転子の2倍周波数の渦電流は、表皮効果の影響で、回転子のくさびと保持環を流れる。機械的に変形し、回転子の接触抵抗が大きくなり、アークを発生する。

最終的に、回転子表面・電機子巻線局部を過熱、あるいは制動巻線を過熱する。

 

(1)  原因

@ 逆相電流

負荷のアンバランス・送電線のねん架不足・遮断機の不完全投入・変圧器の誤結線

A 過大な逆相電流

不平衡故障(線間短絡・一線地絡)・欠相(三相のうち一部の相だけ遮断)

※ 欠相:単相・多相再閉路までの無電圧時間・遮断機の故障・断線故障

B 高調波電流

非線形負荷(サイリスタ)

 

(2)  対策

@ くさびや制動巻線の材質を高温に耐えるものとする

A くさびの下に制動巻線を挿入する

B 回転子端部に制動巻線短絡環を設ける

C 逆相分検出継電器を設置して許容値を超えたら系統から遮断する

D フィルタを設置して高調波電流を遮断する

 

 

10.    同期発電機の軸電流防止対策

軸受油膜の絶縁を破り軸電流が流れると、軸受けが過熱して焼損する。

 

(1)  原因

@  蒸気の微粒子がタービン動翼・軸と衝突するときに、蒸気の微粒子がマイナスに、タービン軸がプラスに帯電し、軸電圧を発生させる。

A  固定電機子鉄心の磁気抵抗が一様でない場合、その不平衡な磁束により、鎖交する回転子に起電力を生じる。

 

(2)  対策

@   軸に接地線を設け、静電荷を常に大地に逃がす。

A   軸受台の下に絶縁板を敷く。電磁誘導による閉回路が形成されないように、軸受けを絶縁する。

 

 

11.    同期発電機の同期並入

並行運転のためには、周波数・電圧・位相を一致させる必要がある。自動同期装置を用いたり、同期検定装置で周波数・電圧・位相を確認する。

 

@  起電力の大きさが異なると、無効横流が流れる。

起電力と位相差90°の無効循環電流が流れて電機子巻線を過熱させる。

 

A  起電力の位相が異なると、有効横流が流れる。

同期化力が働き、位相差を0にするように作用する有効電流(同期化電流)が循環する。

 

※ 横流電流

 

 :系統電圧 :発電機電圧:系統-発電機間リアクタンス

 

B  周波数が異なると、同期化電流が交互に周期的に流れて、安定した運転ができない。

 

C  乱調:並行運転の状態が、急変した場合、回転速度の増減を繰り返す。

通常は一定時間で落ち着くが、場合によっては同期外れを起こし、同期速度を脱出して停止してしまう。

 

D  負荷の分担には、速度特性がかかわる。

 

 

12.    同期発電機の安定度向上

安定性=乱調を起こさないこと

安定度の種類:過渡安定度・動態安定度・長時間動特性・定態安定度

 

@  速応励磁方式の採用

自動電圧調整機(AVR)の速応度を大きくし、故障時の電圧を一定に保つ。

 

A 制動巻線の採用

乱調を防止し、異常電圧を抑制する。磁極面に制動巻線を設けることにより、逆相インピーダンスを増加させ、回転子が同期速度を外れた場合に、制動トルクが発生する。

 

B はずみ車(フライホイール)の採用

回転子の角速度を均一にする

負荷が急に減少した時の、回転速度の急上昇を抑える

はずみ車効果=回転体の慣性モーメントGD2

G:回転体の重量、D:回転体の直径

 

C 短絡比を大きくする=同期(正相)リアクタンスを小さくする

電圧変動率が小さくなる。

 

D 零相・逆相インピーダンスを大きくする

同期外れを防止でき、安定度が向上する。

 

 

13.    同期発電機の周波数低下

事故などで周波数低下した場合の影響

(1)  タービン動翼の共振による軸振動

(2)  補機の回転数低下によるポンプの能力の低下

(3)  発電機の過励磁・発電機の回転数低下による冷却能力の低下

 

 

14.    大容量同期発電機の保護方式

保護継電器:故障区間を電力系統から切り離すように遮断器に制御信号を送る。

@ 電機子巻線短絡保護:比率差動継電器

電機子巻線間の相間短絡を検知する。

 

A 電機子巻線地絡保護:地絡過電圧継電器

中性点の零相電圧を検出する。

 

B 界磁喪失保護:距離継電器

界磁低下は、同期化力を失わせ、同期外れを起こし、系統電圧を低下させる。

 

C 界磁巻線地絡保護:地絡過電圧継電器

界磁回路が接地すると磁気不平衡や振動を発生する。

 

D 不平衡保護:逆相過電流継電器

不平衡故障が起きると、逆相過電流が流れ、回転子の逆方向の回転磁界を作り、回転子に2倍周波数の電流を誘起し、回転子表面に渦電流を流し過熱し、機械的強度を脅かす。

 

E 過電圧保護:過電圧継電器

AVRが動作しない時のために備える。

 

F 過励磁保護

過励磁は漏れ磁束を増やし、異常過熱をもたらす。

 

 

15.    同期発電電動機

揚水発電に使われる。揚水時に同期電動機として始動するときには、過大な始動電流が系統に悪影響しないように、低電圧始動、水車内の水を圧縮空気で押し下げるなどして始動する。周波数変換装置を使って可変速運転を可能とする。

 

@ 制動巻線始動方式

制動巻線を利用し、かご形三相誘導電動機として始動用回路を使用して自己始動し、同期速度付近で界磁を励磁し同期運転させる。

 

A 直結電動機始動方式

回転軸直結の始動用電動機(巻線型誘導電動機)で加速し、同期速度付近で界磁・電機子を電源に接続し同期運転させる。始動電動機の容量としては、主電動機の5%程度。大・中容量器用に適し、系統に与える影響が小さい。

 

B 同期始動方式

発電電動機と専用の始動用発電機とを停止時に電気的に結合して、発電機を起動する。大容量器用に適し、系統に与える影響が小さい。

 

C 低周波始動方式

制動巻線始動方式と同期始動方式を組み合わせた方式。

 

D サイリスタ始動方式

始動開始前に励磁を発電電動機に与え、サイリスタ変換装置の交流出力電力を発電電動機に加え、変換装置の周波数を低周波から低格周波数まで連続的に変えて加速する方式。サイリスタ変換器により、電動機の回転子位置に応じた電流を電機子に供給する。大容量器用に適し、系統に与える影響が小さい。

 

 

16.    発電所の保守

(1)  塩害対策

がいしが塩分で汚損すると、雨や霧により漏れ電流が増加し、耐電圧低下し、フラッシュオーバー事故を起こす。

@ がいしの増結・長幹がいし・対霧がいしによる耐電圧強化。

A がいしに付着した塩分を注水で除去する。

B 塩分を含んだ風が当たらないように密閉機器を採用し、屋内化する。

C がいし表面にシリコンコンパウンドを塗布する。

 

(2)  蓄電池(直流電源)

系統が全停電した場合、直ちに始動し、ほかの非常用電源(ディーゼル発電機など)が始動するまでの間、予備電源として働く。

蓄電池の容量について注意することは、

@ 瞬時負荷電流:遮断器の操作電流の供給

A 連続負荷電流:タービンのターニング油ポンプの操作電流供給

B 推定最大停電時間:電力供給可能な時間

C 電圧降下:瞬間負荷電流を流しても、機器の動作に支障をきたす大きさの電圧降下を起こさないこと

D 経年劣化:蓄電池の容量は年月とともに劣化する

E 温度変化:冬場は容量が低下する。

 

(3)  非破壊検査

ž  形状急変部:製造欠陥が発生しやすい、応力集中しやすい

ž  高応力部:使用応力が高い

ž  溶接部:溶け込み不良など潜在欠陥ができやすい

 

@ 浸透探傷試験

表面の欠陥部に浸透液を浸透させ、観察する。

A 磁粉探傷試験

表面・表面下の欠陥部に、磁化した磁粉を付着させて検出する。磁性金属のみに使用。

B 放射線透過試験

欠陥部の詳細をX線・ガンマ線・中性子線で調査する。

C 超音波探傷試験

深部の微細な欠陥を、音響的性質を利用した、パルス反射法で探知する。

 

 

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