新エネルギー発電
1. 燃料電池
化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。
燃料電池の種類
@ 固体酸化物型(SOFC)
作動温度:1000℃、発電効率:50〜60%、総合効率:80%
大規模発電プラント用(火力発電の代替)
排熱を蒸気タービン・ガスタービン発電で利用
A 溶融炭酸塩型(MCFC)
作動温度:650℃、発電効率:45〜60%、総合効率:80%
大規模発電プラント用
排熱を蒸気タービン・ガスタービン発電で利用
B リン酸型(PAFC)
作動温度:200℃、発電効率:35〜45%、総合効率:70%
分散型電源(オンサイト型電源)用
コジェネレーションシステムとして民間産業用で実用化され、現在最も開発が進んでいる。
C 固体高分子型(PEFC)
作動温度:60〜80℃、発電効率:30〜45%、総合効率:70%
家庭電源用、自動車用
改質装置:天然ガス・メタノールに水蒸気を加え、外部から熱を与えて、改質反応を促進させて、水素ガスを発生させる。
インバータ:燃料電池の直流電力を交流に変換する。
排熱回収装置:排熱で蒸気や高温水を発生させる。
燃料電池の原理
負極では、水素ガスが電子を与え水素イオンとなって(酸化反応)、電解質中を正極に移動する。正極では、酸素ガスが水素イオンと電子と反応し水を生成する(還元反応)。この反応中で外部回路に電子が流れて、直流電流が発生する。
負極:
正極:
2. 地熱発電
地熱貯留槽の地熱流体(過熱蒸気・熱水)をエネルギー源とする。
硫化水素に対する防食対策が必要。
@ ドライスチーム(DS)方式
過熱蒸気で直接タービンを回転させる。
A シングルフラッシュ(SF)方式
蒸気・熱水を汽水分離器で分離し、蒸気でタービンを回転させる。
B ダブルフラッシュ(DF)方式
蒸気・熱水を汽水分離器で分離し、蒸気でタービンを回転させる。一方、熱水をフラッシュタンクで減圧蒸発させ蒸気を作り、こちらもタービンの動力にする。
C バイナリーサイクル
熱交換器を介して、熱水の熱で、低沸点のフロンを気化させ、タービンを回転させる。
D 高温岩体発電
高温岩盤に水を注入することにより、蒸気を得て、タービンを回転させる。同じ表面積で地熱発電の10倍のエネルギーが得られる。
3. LNG冷熱発電
LNG(液化天然ガス)の気化を利用する。
LNGは-162℃で冷却・液化するために、燃料としてのエネルギーの10〜15%を消費している。その消費したエネルギーを少しでも回収するために、冷熱発電がおこなわれる。
@ 直接膨張方式
気化して体積が600倍になるLNGの膨張で、直接タービンを回転させる。
A ランキンサイクル方式(フレオン・プロパン媒体のランキンサイクル)
LNGを凝縮器の冷却に利用。
B ガスタービン方式(窒素媒体のクローズドサイクル)
LNGで圧縮機入口の窒素を冷却し、圧縮機の動力を低減する。
4. 海洋温度差発電
海の表面と500m位の深さの温度差を利用する。
赤道直下において、海面で30℃、深さ500mで5〜10℃
(1) 熱交換器を介して、表面の温海水の熱で低沸点の媒体(フロン・アンモニア)を気化させ、タービンを回転させる。
(2) 凝縮器を介して、深層の冷海水で媒体を液化させる。
5. そのほかの発電方式
波力発電:海面の上下動で空気を流動させ、空気でタービンを回す。
潮汐発電:潮の干満による海水の流れを利用する。
MHD発電:高温ガスを強力な磁界中に流すことにより、起電力を発生させる。