1. 地球温暖化への対策
2. ヒートポンプとは
4. 暖房への応用(エアコン)
5. コジェネレーション
1. 地球温暖化への対策
・ 京都議定書:1990年基準で温室効果ガス6%削減(2008〜2012年の平均)。
・ 省エネと、燃焼によるCO2削減が必要。
・ そこで、ヒートポンプを使って、電気による炎の置き換えを目指す。
・ ヒートポンプはその省エネルギー・省CO2効果より、新エネルギー・再生可能なエネルギーと定義される場合もある。
出典:日本エネルギー経済研究所
低温部の熱エネルギーを高温部へ汲み上げる熱交換の働きをする装置。
熱回収ヒートポンプでは、排熱を回収・利用することにより、室内機ごとに冷暖房が可能となる。
地中熱ヒートポンプでは、熱源が冬季は高温になり、夏季は低温になる。
氷蓄熱ヒートポンプでは、夜間に冷媒で製氷し、畜氷しておくことによって、昼間に解氷し冷房に利用する。
(1) ヒートポンプのしくみ
@ コンプレッサで圧縮されて、低温低圧の冷媒が高温高圧気体になる
A コンデンサで外気に冷やされて凝縮、低温高圧の液体になる
冷媒が、液化の際周囲に放熱する(加熱)
B エキスバンションバルブ等で冷媒の圧力を下げる
C エバポレータで低温低圧液体が蒸発、低温低圧気体になる
冷媒が、気化の際に周囲から熱を奪う(冷却)
このサイクル(逆カルノーサイクル)において、電気を熱エネルギーとしてではなく、熱を移動させる動力源として利用(電力のほとんどがコンプレッサの動力に使われる)。
そのため、消費電力の3〜6倍近くの熱を利用可能(効率:300〜600% 即ちCOP=3〜6)
⇔ 燃焼では最初に投じたエネルギーを超える効率は出ない(最高効率100%)
(2) ヒートポンプの理論
熱機関(カルノーサイクル)
高温熱源から熱量を吸収し、低温熱源へ熱量を放出、その差を外部へ仕事
ヒートポンプ(逆カルノーサイクル)
外部から仕事を受け、低温熱源より熱を吸収し、高温熱源へ熱を放出
エネルギー消費効率
COPは両熱源の温度差が小さいほど大きい。
したがって、外気温が低いと効率が低下する。冬季や寒冷地では、効率が低い。
最近は、COPよりも実用に則したAPF(通年エネルギー消費効率)で冷暖房能力を表す。
(3) ヒートポンプの駆動方式
@ 電気式ヒートポンプ
電気エネルギーをコンプレッサの動力に使う。リラクタンスDCモータでコンプレッサを駆動する。
A ガスヒートポンプ
LPガスを燃料としたガスエンジンでコンプレッサを駆動する。
B 熱駆動ヒートポンプ
コンプレッサの代わりに、高い温度の熱エネルギーを使って、低圧気体を高温高圧気体にする。LiBr水溶液による吸収式ヒートポンプなど。
(4) ヒートポンプの要素技術
@ インバータによる運転制御
A 冷却ファンの高効率化
B 熱交換器の性能向上
C コンプレッサの改良
(5) ヒートポンプの応用分野
@ 家電(ルームエアコン、冷蔵庫、洗濯乾燥機)
A 給湯器(エコキュート)
B 床暖房システム
C コジェネレーション
D 地中熱ヒートポンプシステム
・ 燃焼式給湯器の熱効率95%に対し、エコキュートはCOP=3(効率300%)である。
・ 燃焼(燃焼式給湯器)をヒートポンプ(エコキュート)に置き換えることにより、30%の省エネ・50%の省CO2が実現される。
・ 家庭で使われる給湯温度は40〜60℃なので、ヒートポンプの効率の良さを引き出しやすい。
・ 燃焼を伴わないシステムの安全性が期待できる。
・ 昼間よりも割安な夜間電力を使用し、ランニングコストを低減できる。
・ 冷媒にフロン系ではなくCO2を使用し、オゾン層破壊の抑制にも貢献。
4. 暖房への応用(エアコン)
・ ガスファンヒータの熱効率90%に対し、エアコンの暖房はCOP=6(効率600%)である。
・ 燃焼(ヒータ)をヒートポンプ(エアコン)に置き換えることにより、60%の省エネ・70%の省CO2が実現される。
・ 冷房だけでなく暖房にも使用できるので、同じ設備で冷暖房が可能。
・ トップランナー規制導入(1999)以降、日本製エアコンのCOPが飛躍的に上昇している。
・ インバータ技術を駆使し、氷点下でもCOP=3を実現しており、寒冷地での地球温暖化対策に貢献できる。
・ 「ストーブを止めてエアコンを付ける」に切り替えるだけで、日本全体で1.2%のCO2削減。
・ 冷媒に代替フロンHFCを採用し、オゾン層破壊の抑制にも貢献。
5. コジェネレーション
マイクロガスタービンなどの排熱を回収し、動力源として冷房に使う。
蓄熱槽(冷水・温水)と組み合わせることにより、コジェネレーションシステムが形成される。